コラム

地震保険の過小判定で未払い数百億〜数千億円も

2023/05/10コラム

皆さん、こんにちは。

先日、石川県で震度6強の地震がありました。

被災された皆様にはI日も早い復旧を心よりお見舞い申し上げます。

今回のブログは地震保険の不払い問題です。

全国でこのような問題が起こっており、大変な問題だと感じています。

一部損の判定が全損に(仙台市)

東京地裁は1月26日、東京海上日動火災保険に地震保険の保険金1000万円を支払うよう命じる判決を出した。訴訟は、2021年2月の福島県沖地震で、被害を受けた仙台市泉区の会社員男性(47)が保険会社の支払額の少なさを不満として提訴していた。同社の判定は「一部損」(保険金50万円)としていた。古庄研裁判長は、証拠採用された日本損害保険協会(損保協会)の基準を挙げて「査定指針基準表に従って計算すると『全損』と認められる」と過小判定を指摘した。保険金は20倍に拡大したことになる。東京海上は控訴せず、判決は確定した。

一部損の判定が半損に(大分県別府市)

2016年4月の熊本地震で被災した大分県別府市のマンションのケースでは、東京地裁が20年11月、損保ジャパンが「一部損」(保険金1050万円)とした判定を覆して「半損」と認定、1億5000万円を支払うよう命じた。

徳業者に利用される可能性があるため、地震保険の判定基準や指針は公にできない??

この記事では、日本と民間保険会社が共通で運営する地震保険の支払い評価で、「過小判定」が全国各地で認識されているとあります。保険業界の判定基準が公表されていないことが背景にあるとされており、保険会社側が恣意的に支払いを抑制しており、疑念が生じているとのこと。地震保険の本来の在り方が問われる状況となっています。

また、未払い額は数百億~数千億円にも上るとの専門家の意見が紹介されています。 一部の弁護士は、地震保険の仕組みの改善を求めており、保険金支払いの基準や指針を公にしないことは、保険契約者と保険会社の間に情報量、交渉面での不均衡を生じさせるとの意見があり、ただ保険会社の判断に従うことになってしまうと地震保険の仕組みの改善を呼びかけています。

また記事の中では

損害保険協会は、地震保険の判定が覆った件数や金額は把握していないとのことですが、同協会の広報担当者が取材に対して「過小判定が頻繁に発しているとは認識していない。基準通りに正しく判断している。悪質な業者に利用される恐れがあるため基準や指針は公にできない」と話しているという。しかし、数百億~数千億円の未払い金があると、誰が「悪質業者か」という疑問が湧いてくる。

とあります。

過小判定問題が解決に向けて動き出すためには、保険業界、政府、そして契約者が協力し合うことが重要です。まず、保険業界は判定基準や評価基準を公表し、透明性を出すことにより、過小判定の問題が減少することが期待されます。

政府も、地震保険制度の監視や規制を強化し、保険会社が適切な判断を下すよう役割を検討すべきです。また、契約者への透明な情報提供をすることで、適切な保険金を受け取るための手続きが円滑に進むよう支援することは重要です。

契約者自身も、自分の権利を主張するために、地震保険に関する知識を身に付けることが必要であり、過小判定に対しては、専門家や弁護士と連携し、正当な保険金の支払いを求めることができます。

さらに、契約者が地震保険の問題に対して関心を持ち、保険業界や政府に改善を求めることが大切です。契約者の声が高まることで、過小判定問題に対する対策が加速されることが期待されます。

最後に、地震につけみ悪質業者が跋扈することもありますが、その被害を防ぐため、被害者が再調査や申請サポート業者を行う際には、信頼性のある業者を選ぶことが重要です。

弊社も数多くの地震被害の調査をしてきました。

その中で一部損が小半損以上に覆ったケースは多数あります。

地震保険の査定は上記のように査定基準や指針が公表されていないため、非常に難しいので契約者は不利です。そのためどうしても専門家の調査が必要なのです。

地震保険の過小判定問題が改善され、被災者が適切な支援を受ける状況が実現されることを期待します。

 

参考記事:官民共同の地震保険。支払い評価で保険会社が「過小判定」全国で広がる。 「未払い数百億~数千億円」の見積りも

 

土井 隆