コラム
一度も保険金請求をしたことがなくて、いざ保険金請求をしてみたら支払いを拒否されたという事例
2022/08/19コラム
皆さん、こんにちは。
「火災保険は大きな事故の時に請求すればいい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それも一つの考え方かと思いますが、実際に保険金請求をされたことがある方からこんなお話をいただきます。
「今まで一度も請求したことはないのに、経年劣化と言われて保険金がほとんど下りなかった」
「大雪から何年か経って、その時に壊れた雨樋も保険金請求できることを親戚から教えてもらったので保険会社へ連絡を入れたが、事故当時の写真がないと保険金を支払えないと言われた。そんなものは撮っていないので諦めた」
「2018年の台風の被害で保険会社へ連絡を入れたが、被害はあるものの2018年の台風なのか、判断がつかないので支払えないと言われてしまった」などなど。
支払いを拒否されてしまった理由
上記のような話は多く、それまで一度も保険金請求をしていない方が、いざ保険金請求をしてみたら支払いを拒否されたという内容です。
そのように言われてしまう原因に
①事故後、速やかに保険金請求をしなかった。
②事故当時の写真を撮っていなかった。
ということが挙げられます。
ただ、そもそも保険金請求できるのかどうか、多くの保険契約者は知りません。
『事故後速やかに』保険金請求できなかった理由はそこにあります。
ましてや『事故直後の写真』など撮っている人はほとんどいません。
火災保険の約款を知らないので請求のしようがない
保険会社は保険金を支払うことに対して、合理的な理由がなければ支払うことはできません。
いつ起こったのか、契約者の言葉だけでは合理的と判断がつかないことも多いので、『事故後速やかに』『その時の写真』など客観的に証拠となり得るものを要求します。
ただし、しつこいようですが、保険約款を理解している契約者は皆無なのです。どのような事象で保険金請求ができるのかを知らないので、請求しようがありません。
保険会社と契約者には保険契約についての知識と情報に差がありすぎる
保険契約者と保険会社との情報や知識には大きな隔たりがあります。約款をほぼ理解することなく契約に至っているのが現状です。
その情報と知識の差によって、保険金請求がなされなかったり、途中で知った方は請求のタイミングが遅れたりしているのです。
だから『保険金請求漏れ』という事象が多発するのです。
その情報と知識のギャップを誰が埋めるのでしょうか?
現状では契約者が自ら勉強して埋めるしかないのです。
ただそれを誰がレクチャーしてくれるのでしょうか?
ドイツでは保険相談士という資格が存在する
2007年5月、ドイツでは保険会社と保険契約者との情報と知識の差によって保険契約者が不利益を被らないように『保険仲介者法』が施行され『保険相談士』という資格が創設されました。
保険相談士は保険契約者に保険約款をわかりやすく説明し、保険金請求時のアドバイスを行います。保険契約者は保険金の受取漏れを防ぐことができるのです。
現在の日本では『契約者側に立って保険金請求をサポートする』という資格が存在しません。
だからこそ様々な業者が乱立し、保険金請求のサポートをしているのですが、詐欺まがいの請求を行い、逮捕される事例も出てきています。
そのようなサポート業者の良し悪しの判断は難しいところですが、それについて言及したコラムもご参考いただければと思います。
参考コラム:私の考える、火災保険申請サポート会社の選び方
データで残すためにも火災保険金は請求したほうがいい
ほとんどの方は事故があってからしばらくの時間が経ってようやく保険金請求できることを知ります。そのため写真も撮っていることもなく調査をしたときに初めて写真を撮ることになります。
仮にですが、その時に保険金が下りなかったとしても調査した時点の写真は撮れているのです。これがその後、請求事項が出たときに役に立つ証拠の写真となるのです。
写真を撮った時点ではなかった損害がその1年後に台風などの被害が出たときに、1年後に写真を撮るまでの間に起こった事故だと証明ができるからです。
だからこそ、たとえ細かい損害であったとしても(少額の保険金だったとしても)請求をしておけば保険会社にもデータが保存されます。
その後に起こった請求に関しては保険会社も以前の建物の写真が残っています。
そうすれば新たな保険金請求の写真と比較して、前回にはなかった損害だと判断できれば保険金はスムーズに下りるのです。
現状の写真もしっかり撮影しなければなりません。建物のどこに被害が出るか予想がつかないからです。
弊社はお客様の建物調査の際に建物全体の写真をしっかり撮影しますが、損害のない箇所もしっかり撮っているので、後々の保険金請求の際に大変役に立ちます。
弊社のサービスの意義はその場だけの保険金請求ではなく、将来に渡る建物の損害を時系列で証明し得る証拠として調査を実施しているのです。
この日本ではまだまだ火災保険に関して契約者に優しいとは言えない気がします。
火災保険の知識や情報を保険会社はもっとわかりやすく伝える義務があると思うのですが、契約者側に立ったサービスがもっと認知されてくるべきだと考えています。
火災保険契約者の皆様のサポートがもっとできるように弊社も努力しておりますので、皆様の中で何か気になることがありましたら、是非お聞かせください。
お気軽にご連絡をいただけると嬉しいです。
土井 隆